top of page

不正調査におけるヒアリングのリスクと効果的な進め方

不正調査を行う際、ヒアリング(面談)は重要なステップの一つです。しかし、ヒアリングにはリスクも伴います。慎重に進めなければ、調査対象者に証拠隠滅や言い逃れの機会を与えてしまうこともあります。本記事では、不正調査におけるヒアリングのリスクと、効果的な進め方について解説します。



ヒアリングの役割と重要性

不正調査において、ヒアリングは対象者から直接情報を収集する機会であり、行動の背景や意図を確認するために行われます。証拠が不十分な場合でも、ヒアリングを通じて対象者の発言や態度から新たな手がかりを得ることができることもあります。


主な目的:

  • 対象者の行動や意図を確認する

  • 調査中に発見した事実との整合性を確認する

  • 新たな証拠を発見する可能性を探る


ヒアリングに伴うリスク

  • 不正調査におけるヒアリングは重要なステップですが、適切に行わないと次のようなリスクを招くことがあります。


証拠隠滅のリスク

ヒアリングを行うことで、対象者に自分が疑われていることを伝えることになります。その結果、対象者が調査の進行を妨げるために、証拠を隠滅したり、データを削除したりする可能性が高まります。


言い逃れの機会を与える

ヒアリング中に質問の仕方を誤ると、対象者に言い逃れの余地を与えることがあります。例えば、明確な証拠がない状態で質問をすると、対象者が状況を把握し、後に矛盾が生じないように対策を講じることが考えられます。


精神的圧力による非協力

過度な圧力や威圧的な質問をすると、対象者が精神的に追い詰められ、調査に協力しなくなる可能性があります。これにより、調査が非効率になったり、新たな証拠が発見できなくなったりするリスクが高まります。


ケーススタディ:ヒアリングが逆効果になった事例

ある企業で内部不正の疑いが発覚し、調査チームが対象者へのヒアリングを急いで行いました。しかし、事前に証拠が十分に揃っていなかったため、ヒアリング中に対象者が証拠の不備に気付き、ヒアリング後に証拠となる電子データを上書きし、隠滅してしまいました。この結果、調査は大きな障害に直面し、最終的に証拠を完全に揃えることができませんでした。


この事例では、ヒアリングのタイミングと方法が不適切だったために、調査が逆効果となった典型的なケースです。


効果的なヒアリングの進め方

ヒアリングのリスクを最小限に抑え、効果的に進めるためには、いくつかのポイントに注意する必要があります。以下は、ヒアリングを成功させるための進め方です。


証拠を事前に確認し、準備する

ヒアリングを行う前に、調査チームはできるだけ多くの証拠を収集し、確認しておくことが重要です。仮に明確な証拠があれば、ヒアリング中に対象者の発言に対して適切な質問を行うことができ、有力な証言を引き出すことができます。しかし、すべてのケースで明確な証拠が揃っているとは限りません。

この際、不正の明確な証拠がなくとも、不正に関する間接的な事実が判明していれば、ヒアリング時に矛盾点を引き出すこともでき、記録をしておくことで、後に有力な証言として活用することができます。


ヒアリングのタイミングを慎重に選ぶ

ヒアリングは、調査が進行した後に行うべきです。特に、デバイスの保全やデータの取得が完了した後に実施することで、証拠隠滅のリスクを最小限に抑えます。調査の早い段階で行うと、対象者が証拠を破壊する時間を与えてしまう可能性があるため、注意が必要です。


質問の仕方に工夫する

ヒアリングの際には、対象者が矛盾を生む可能性のある質問をすることが効果的です。具体的な事実に基づく質問を行い、対象者が言い逃れできない状況を作り出すことが大切です。質問はオープンエンド(自由回答形式)とクローズドエンド(Yes/No回答形式)を組み合わせ、相手の反応を見ながら進めることも有効です。


心理的圧力を適度に管理する

過度な圧力をかけると、対象者は防衛的になり、協力を拒否することがあります。一方で、適度な緊張感を保つことは効果的です。誠実かつ冷静な態度でヒアリングを進め、対象者が自ら真実を語る環境を整えます。


対象者の発言を記録し、解析する

ヒアリング中の対象者の発言はすべて記録し、その後に証拠と照らし合わせて矛盾点を確認します。また、対象者の態度や非言語的な反応にも注意を払い、心理的な変化を観察することも重要です。


ケーススタディ:成功したヒアリングの事例

ある企業で発生した不正行為に対する調査では、調査チームが事前に十分な証拠を収集し、デバイスの保全を完了させた後でヒアリングを実施しました。ヒアリング中に対象者に対して矛盾のない発言を求め、証拠との不整合を指摘することで、最終的に対象者が不正行為を認めました。

この事例では、ヒアリングのタイミングと方法が適切だったために、調査がスムーズに進行し、成功を収めることができました。


ヒアリングと法務の連携

不正調査におけるヒアリングは、単に対象者から情報を引き出すだけではなく、法的な側面も考慮しなければなりません。ヒアリングで得られた情報が後に法廷で使用される場合、適切な手続きに従ったうえで行われたかどうかが重要です。弁護士や法務部門との連携を通じて、ヒアリング内容が法的に有効な証拠として採用されるように準備しましょう。


デジタルフォレンジック調査におけるヒアリング

デジタルフォレンジックを用いた不正調査においては、調査対象者のヒアリングは、すでに実施した調査の整合性を確認するとともに、調査対象者の個人所有デバイスを回収するチャンスを計る目的もあります。

そのためには、ヒアリングの前に、調査対象者に察知されない可能な範囲で社用デバイスのフォレンジック調査を実施することが重要です。その結果を用いてヒアリング時に証拠を突き付ける、あるいは調査により確認できた事実と矛盾する証言を引き出して対象者を不利な状況に追い込み、個人所有デバイス回収のための交渉に臨むことも有効な手段となります。


まとめ

不正調査におけるヒアリングは、適切に行えば重要な証拠を得るための有力な手段となりますが、リスクも伴います。事前に証拠を確認し、タイミングや質問の仕方を工夫することで、証拠隠滅や言い逃れのリスクを最小限に抑えることが可能です。また、適度な心理的圧力を管理し、冷静にヒアリングを進めることで、調査が成功する可能性が高まります。

不正調査に関するご相談やヒアリングの進め方については、SIPにお気軽にご連絡ください。四大法律事務所案件、BIG4監査法人案件、大手メーカー国際産業スパイ案件などで調査リーダーを務めた専門家によるサポートで、セキュリティ対策を支援いたします。

大阪府、京都府、兵庫県、奈良県などの関西圏を中心に、全国で対応しています。

bottom of page